読めばわかるコラム:Vol.30 やる気がない、目標達成意識が低い営業メンバーへのコーチング法〜優れた営業リーダーの部下育成6~
トップへ戻る根本的なやる気自体を疑うと、メンバーは離れていく
ちょっと極端な例だが、実際に私はなんども出くわしたことがあるやりとりだ。
営業リーダー:「A君、今月も残り1週間だけど、目標達成まであといくらだっけ?」
営業メンバー:「えーと、ちょっと待ってください……」(と資料を探し始める)
営業リーダー:(おいおい、自分の数字の話だぞ。なぜ、すぐに答えられないのかな…)
営業リーダー:「その前にA君、自分の月間目標数字はわかってる?」
営業メンバー:「えーと、ですね…」(と目が泳ぎ始める)
営業リーダー:(「コイツ、やる気ないな!」と、心の中でつぶやく)
いや、口に出してしまうリーダーもいるかもしれない。
リーダーがそうつぶやきたくなる気持ちは、痛いほどわかる。
ただ、メンバーの根本的な人間性を疑う前に、ひと呼吸入れて、 「なぜA君は、そうなってしまうんだろう?」と、その現象に焦点を当てて欲しい。
“ヒト”を疑うのではなく、“コト”に疑問を持つのだ。
自分の人間性を否定的にみる相手には、当然ながら心を閉ざし距離を保つようになる。 そうなると、その原因究明や対処策をメンバーと一緒に考えることができなくなるのだ。
達成シミュレーションで目標数字にリアリティを
もちろん、原因はさまざまな場合があるが、一般的には次の2つが多い。
- 従事している仕事自体に興味関心が無くなってきている。
この場合は、改めてメンバーに対するコーチングを行い、本人のモチベーションの源泉になる部分と仕事内容をひもづけ、仕事の意味づけを行う必要がある。
- 目標数字にリアリティがなく、達成イメージがわいていない。
私の経験ではこの原因の方が多い。実際に私が駆け出しの営業メンバーだった時もそうだった。
- 目標数字 ⇒ 数字を埋めるための商談案件 ⇒ 商談案件を創り出すための活動
この3つがつながっていないのだ。
こんな場合は、下の図で示す「達成シミュレーション表」をコーチングしながら一緒に作成することをお勧めしたい。売上の数字と案件を一覧にしたシートだが、Aさんの場合はまばらに数字が埋まるだけで、ほとんどが空欄になるはずだ。
●「達成シミュレーション表」についてはこちらのコラムに詳しいので、ぜひ参照してほしい。
読めばわかるコラム:Vol.06 強い営業チームが使う目標達成シミュレーションツール「ヨミ表」とは?
【数字管理シート】
【案件管理シート】
まずは、2つの管理シートによって達成シミュレーションをすることで、「ほとんどが埋まらず空欄になる」という状況を見える化し、メンバーと一緒に向き合うのだ。
そして、どんな規模の案件を、
どのタイミングで受注すれば数字が埋まっていくのか。
そのためにはどんな活動をしなければならないのか?
このような問いかけをメンバーにしながら、今日からできるアクションに落とし込んでいくことが重要だ。
つまるところ、
1)新規の商談アポイントを取る
2)親しい方から新規のお客様を紹介してもらう
3)既存のお客様に追加提案する
といった、「商談案件を創り出すアクション」になるはずだ。
このような地道な活動を促し、支援することで、徐々に図の下段部分「案件一覧表」が埋まってくるはずだ。すると、上段の集計数字が埋まりはじめ、目標数字の達成にリアリティがでてくるのだ。
この達成シミュレーションをメンバーが自力でできるようになれば一安心だ。
次回は、「チーム目標の達成」に対する意識が低い場合の対処法についてお伝えしたい。