読めばわかるコラム:Vol.45 押さえておきたいのは2つのポイントだけ!すぐ身につく「コーチングスキル」とは?
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前回のコラムでは、営業リーダーに必要なコミュニケーションスキルとして「方針を伝えるスキル」について解説した。一方、リーダーからのメッセージを伝えるだけでなく、“メンバーの思いを汲み取る”コミュニケーションスキルも重要だ。
今回は、メンバーの思いを汲み取るために必要となる「コーチングスキル」について解説する。
「コーチング」とは何か
コーチングの定義は様々あり統一されたものはないが、共通する要素としては、以下の3点を目的としたコミュニケーション手法である。
1)対話を通して、相手との信頼関係を築く
2)相手の思考を刺激して、自己実現や目標達成の可能性を最大化する
3)自己実現や目標達成に向けて、相手に自発的な行動を促す
つまり、「相手の思いや能力を引き出し、自発的な行動を促すこと」と言える。
ただ、「コーチング」が万能薬というわけではない。
あくまで「相手の中に答えがある」というのが基本的なスタンスだ。メンバーの知識スキルが乏しい場合は、先に役立つ知識や手法を教えてあげる方が効果的な場合もある。つまり、メンバーの状況に応じて、ティーチングとコーチングの使いわけが重要なのだ。
ティーチングとコーチングはどうやって使い分ける?
一般論としては、モチベーションが高いが、知識スキルがまだ備わっていないメンバーには、ティーチング。ある程度の経験を持ち一定レベルの知識スキルを有しているのに、やる気を感じない、行動に移せないンバーには、コーチングが有効と言われている。
営業メンバーでの具体例で表してみよう。
◎ティーチングが有効な営業メンバー
訪問量も多い、自分でもよく勉強しているなど、つまり自発的にアクションを起こしているのに、うまくいかずに悩んでいるメンバーには、まずは効果的・効率的なやり方をティーチングすれば、すぐに実践するはずだ。そこから、成功体験を自力でつかめば、自信になり、また新たなチャレンジをし始める成長の好循環が生まれる。
◎コーチングが有効な営業メンバー
いろいろとアドバイスや指示をしても、その時は「はい、わかりました、やってみます」というものの、いっこうにやる気配を感じないメンバーはいないだろうか。そんなときには「今、何にモヤモヤしているのか?」と、その真意を聴き、共に整理していくコーチングが必要となる。
これだけは押さえておきたい!コーチングの基本スタンス
基本的なスタンスとして重要なことは、以下の2点だ。
1)性善説に立つ
ついつい、このメンバーはそもそも怠け者だ、この仕事には向いてないなど、人格や潜在的な可能性を否定するモードになってしまいがちだ。
性善説に立つとは、そもそも力を持っているのに、なんらかの要因でそれが発揮できていないと考え、それを一緒に明らかにしようとするスタンスを貫くことだ。
2)理解することに徹する
いろんな企業でコーチング研修のロールプレイをすると、最初はいくつか質問しながら状況を確認するが、すぐに上司役は自分の意見やアドバイスを話し始める。結局、上司役が部下を説得する場に変わっていることが非常に多い。
理解することに徹するためには、相手の発言をさらっと受け流さないことだ。
例えば、「やろうと思っているのですが、時間がなくて……」とメンバーが発言したとき、この言葉尻だけに反応したり、「また言い訳か……」と自分なりの解釈をすぐするのではなく、
「このメンバーは、今、どんな気持ちで話しているのだろうか?」
そこをもっと理解しようと、踏み止まってみることだ。
相手を本当に理解することは、実際には不可能だと思う。ただ、相手が「この人はちゃんと自分のことを理解しようとしてくれている」という信頼感を持てるがどうかがポイントだ。
具体的には、「承認・傾聴・質問」といったようなコーチングスキルがたくさんあるが、まずは上記の2つの基本スタンスを意識してコミュニケーションをするだけで、メンバーとの関係性が変わってくるはずだ。ぜひ、試してもらいたい。
次回は、営業チームの営業戦略の立て方について解説する。